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2−5 港 湾

 
 同国の面積はバルト三国の中では一番大きいが、海岸線延長は、約100kmと最も短く、図2−5−1に示すクライペダ港が唯一の貿易港である。同港はバルト海東岸に位置する港の約20%の貨物を取り扱っている。
 ソビエト時代は、同港はモスクワ政府が監理していたが、独立に伴い、1992年、リトアニア国家港湾の資格が与えられた。これにより、クライペダ港湾庁自らが港湾の監理・運営を行うため、新たに港湾法が必要となり、欧州諸国の協力のもと策定作業が進められ、1996年6月5日に同法が施行された。国際的な海事機関については、1995年、Intemational Maritime Organization(IMO)に加盟している。
 また、同国の船杜については、1969年に設立された国営の“Lithuanian Shipping Companay(LISCO)”があり、44隻の貨物船を保有し、世界各地の港へ航行している。このうち2隻は貨車を搭載できるフェリーで、クライペダ港からキール港とムクラン港への二つの定期航路を開設している。”LISCO”と”Klaipeda Transport fleet Ltd.”の2社が国を代表する船杜で、その株の過半数を国が保有している。この他に船舶を数隻程度保有する83の小規模な船杜がある。
 一方、船員を養成する機関については、クライペダに航海研修所が在るが、機関整備や航海シュミレーション等の教育・訓練設備については、旧来式のものであった。船員の教育に関しては、1984年、STC条約(International Convention on Standards of Training Certification and Watchkeeping for Seafarers)により、各国の船員教育機関のカリキュラムや教材設備に一定の基準が設けられた。その後、航海技術の目覚ましい発展に対応し、全面的に見直しの大改正が行われ、1997年2月に新条約が発効される運びである。新条約はシミュレーターによる訓練を一部強制、一部勧告しており、5年間の経過期間を認めている。これにより、当研修所もシミュレーターをはじめ新しい教育設備の設置が必要となっている。

 

 

 

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